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巣のレイアウトを決める
前回の飼育巣の自作その1の記事で完成写真を紹介してしまいましたので、お分かりかと思いますが、水槽の背面側と向かって左側に巣を配置するレイアウトといたしました。
設計図といえるほどの物ではありませんが、平面図にするとこんな感じ。寸法は大体です。
水槽を使って飼育巣を作成する場合、一般的には水槽の下部を巣としてその上に餌場を設けるというレイアウトが主流のようです。しかし私は上図のようなレイアウトにすることにしました。その理由は大きく二つあります。
一つ目は、飼育ケースを置いている場所によるものです。
水槽下部に巣を配置しその上に餌場というレイアウトでは、巣のキャパをより多く取るためには前面と両側面の3面、あるいは全面(4面)に巣を配置する必要があります。
私が飼育巣を置いている場所はデスクの上で、どうしても前からと向かって右側からの2面からしか水槽内を見ることができないので、巣内を全て観察できるようにするには2面しか使えません。
2面しか巣として使えないので、キャパを増やすには高さを使うしかありません。巣の部分を高く作るしかないのです。
巣を高くすると、その上部に餌場というレイアウトには出来ませんから、餌場は水槽底面ということになります。
そして、水槽の前面と右面に高い巣を配置すると(この方が巣の中は観察しやすいのですが)餌場が上からしか見えなくなってしまいます。アリ達の巣の外での活動も観察したいので、このようなレイアウトになった次第です。
二つ目は、木で巣を作るためです。
水槽のガラス面に巣を配置して外から巣の中を見えるようにする構造では、巣とガラスをある程度ピッタリくっつける必要があります。
そうすると「木の反り問題」をクリアしなければならないと思います。下手するとガラスが割れることも考えられます。
もうそんな失敗は繰り返したくありません。
まあ一つ目の理由の方が重要で、木を使わなくてもこのレイアウトにしたと思いますが・・・。
各部品の作成
まずお断りしておかなければならないのですが、各部品の作成途中の写真がありません。
私はい~っつもそうなのですが、作業を始めてしまうと途中で写真を撮るということをすっかり忘れてしまうのです。
大変申し訳ありませんが、完成したパーツの写真は一応ありますので、そちらでご説明させていただきます。m(_ _)m
石膏・コルク部分
木とコルクと石膏のハイブリッド巣というコンセプトですが、水槽は幅25cm×奥行20cmとかなり小さいです。
木製巣+コルク巣+石膏巣にしようかとも思いましたが、それでは各素材の巣が小さくなり作成しにくそうです。
そこで石膏部分については保湿の役目だけを担ってもらい、コルク巣に組み込むことにしました。現在のコルク巣のスポンジの代わりに石膏を使うということです。
完成したコルク+石膏巣の部品の写真です。
コルク部分は100均(セリア)のコルクボード(1cm厚)を3枚張り合わせて作りました。最背面は外周を切っただけ(背板です)、真ん中は巣穴を切り抜き、最前面は巣穴+通路を切り抜きしてから、タイトボンド3で接着してあります。
切抜きには普通のカッターを使用しています。張り合わせた後に巣穴内にできた切抜きのズレによる段差をサンドペーパーである程度ならしてあります。
通路が右の方へ抜けるようにしてあり、木製巣と行き来できるように連結する形になっています。
お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、上の2段・その下の3段・さらにその下の3段と3つのエリアに分けてあり、それぞれのエリア間は(トンネルを掘られない限り)木製巣側を廻らないと行き来出来ない構造にしました。その理由は木製巣と連結する工程の際にご説明いたします。
接着にタイトボンド3を使用したのは、接着力が強いのと安全性が高そう(アメリカ食品医薬品局の基準をクリアしている)だからです。
また、ある程度内部の湿度を保つ必要がありますので、背面と底面には厚さ2mmの塩ビ版を貼り付けました。こちらはコルクと塩ビの接着になりますので、木工用であるタイトボンドではなく、生体水槽に使用可能なシリコンシーラント(バスボンドQ クリヤー)を接着剤として使用しています。
石膏部分はプラスチックケース(多分ダイソーで買ったもの)と塩ビ板で型を作り、石膏を流し込んで製作しました。
石膏に着色した方が乾燥度合いを見極めやすいとネットで見たことがありましたので、着色してあります。着色にはアクリル絵の具やアクリルガッシュを使っている方が多いのですが、私はダイソーで売っていた竹墨をすり鉢&すりこぎで細かくすりつぶし、石膏に混ぜ込むことで着色してみました。所々に少し大きめの黒い粒状のものが混ざっているのはすりつぶしきれなかった竹墨です。適当にすりつぶした(手抜きともいう)のでこうなりましたが、これはこれで味があると勝手に思い込むことにしています。
竹墨を使ったのは、ダイソーにアクリルガッシュを買いに行ったのに黒のアクリルガッシュが売り切れていたアクリル系塗料より安全性が高いと考えたからです。
コルク巣下側5段の巣穴内左壁面に石膏が露出する(巣穴の左が石膏壁)ように組み合わせ、接着してあります。接着剤は2液性のエポキシ接着剤を使用しました。
石膏の下の部分が左に出っ張っているのと、後ろの塩ビ板がさらに高くなっていること、さらに左側面にもその高さまで塩ビ板が貼ってある訳は後ほどご説明いたします。
木製巣部分
木製巣の完成部品です。
書き忘れてましたが、巣の高さは約250mmとしました。
木材はたまたま家で余っていた1×10材を使用しています。220×250mmサイズにカットしたものを2枚貼り合わせてあります。1枚が背板、もう1枚に巣穴と通路の加工をしました。
加工にはトリマーを使用しております。電動工具を使っても加工はかなり大変でした。最初は彫刻刀とノミで手彫りも考えましたが、やらなくてよかったと思います。もし手彫りを選択していたら、きっと途中で投げ出していたでしょう・・・。
巣穴はφ6mmのストレートビットを使用して加工し、通路はφ9.5mmのU溝ビットで深さ約9mmに彫りました。
右下に巣の出入り口を設けてあります。
所々、特に通路部分に茶色っぽいところがあるのは、安物トリマー×安物トリマービット×ド下手加工によるもので、摩擦熱で木材がこげた跡です。ま、これも味ということで・・・。
板の接着にはコルク同様にタイトボンド3を使いました。
この木製巣部品と先ほどのコルク+石膏巣部品をL字型に連結します。
L字型にすることで、巣自体が自立し簡単には倒れません(水槽に収めれば絶対に倒れないと思います)ので、水槽内でガラス面等に固定する必要がなくなります。固定しなければ木の部分が反ったとしても巣の位置が多少動くだけで、ガラスが割れることはないだろうという考えです。はじめの平面図で巣の脇に隙間を設け、ピッタリにしていないのは、巣が動く余地を作るためでもあります。
フタの作成
今回使用した水槽(エーハイム アクアコンパクト用グラス水槽 EJ-25HA。)にはガラスのフタが付属しています。しかし、当然ですがアクアリウム用の水槽で、アクアコンパクトという小型の外部ろ過フィルターを使用する前提になっています。そもそもアクアリウムの場合は水槽に完全にフタをする必要はない上に、外部フィルターのパイプを通さなければならないので、付属のフタは水槽の断面サイズよりかなり小さいです。要するに付属のフタは使えません。
水槽上部には脱出防止剤を塗布するつもりではありますが、万が一を考えて完全にフタをしたいと思います。
ということで専用のフタを自作いたしました。それがこちらです。
写真の上側が前です。
15mm×15mmのアルミアングルとL字折れ金具でフレームを作り、厚さ2mmの透明ポリカーボネート板を上から、シリコンシーラントで接着しました。上から接着剤が見えてちょっとみっともないので、フレームに木目調のカッティングシートを貼って隠してあります。
餌やり等の世話やメンテナンスが容易に出来るように、約140mm×150mmの開口部を設けて、蝶版で開け閉めできるようにしました。開け易いように取っ手も付けてみました。このメンテ用のフタを取り付けたところ、ポリカ板が反っていたため浮き上がって隙間が出来てしまったので、押さえつけるためにプラトンボ(額縁の部品)を2箇所につけて対応しています。
必要かどうかはわかりませんが、メンテ用フタには空気が通るように直径1mmの穴を計117個開けました。
右下の方の穴は、サーモスタットのセンサー等のケーブルを通すためのものです。写真では付けていませんが、ケーブルを通す際にはゴム製のグロメットを付けます。
以上の部品を製作中に、平行して観察時の照明をどの様なものにするかを考えていたのですが、Amazonで面白いLED照明を発見、即ポチリました。曲げられるLEDテープです。USBポートから給電できて、テープ幅は8mm、もうこのフタに仕込むために作られた商品としか思えません。
LEDテープ貼り付け後の写真(フタの裏側)がこちらです。
水槽のガラス(厚さ約5mm)を避けつつ、アルミのフレーム部分にほぼ収まるというまるで特注したかのようなフィット感でした。
USB給電なので、飼育巣の隣にあるデスクトップPCから電源は取れますし、省電力で結構明るい。さらに外観からは照明器具が仕込んであるようには見えないという自己満足な仕上がりとなりました。
これでメインの部品は完成いたしました。
またしても長くなってしまいましたので、続き(コルク+石膏巣と木製巣の連結、デコレーションやセッティング)は次の記事とさせていただきます。
多分ですが、次の記事で完成までいけるんじゃないかと思っております。
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